vol.4 作家と窯元の高度な技術のかけ合わせにより生まれた「TSUDOI|集」: 陶芸家 水野 幸一さん シリーズ第2弾インタビュー

PRODUCT STORY
2024.3.7
自由な感性でものづくりをする作家と、産地に根づいた技術を受け継ぐ職人がコラボレートし、東西、和洋、古今、伝統とコンテンポラリーをむすび、新たな風を生み出していくCOCHI。陶芸家 水野 幸一さんに「TSUDOI|集」制作の裏側、もの作りへの思いを伺いました。


デザインに込めた思い

「TSUDOI|集」という名の通り、人が集まる時に使う器をイメージしました。Lサイズは、約30センチ四方の正方形で、世の中に出回っている器のなかでもかなり大きいものです。大きいからこそ、できる限り軽やかな雰囲気に仕上げたいと思いました。スタイリッシュな空間にも映えるコンテンポラリーな器になるのではないかという直感があったからです。そこで縁の高さを抑えて極限まで薄く、どこまでも平らに仕上げることを目指しました。


器作りの際に気をつけていること

その時々の食生活に寄り添うかたちや、持った時に軽やかさを感じる重量感、お料理を盛り付けた際に一層美味しそうに見える器の素材感や色調などを意識しながら、制作しています。ひとくちに家庭料理といっても、和食、洋食、中華、エスニック料理などさまざまな献立や食べ方のスタイルがありますよね。僕は料理をすることが好きなのですが、レパートリーが増えるにつれて、それぞれの料理にあった心地いい器のサイズ感が変わることに気づいて。従来の和食器だと少し小さく、洋食器だと大きすぎると感じることもよくありました。それがきっかけで、いまは和食器と洋食器のあいだをいく、現代に合う新しいサイズ感を追求しています。



制作の際に大変だったことや気をつけたこと

フラットな器は、接地面が大きいので制作の工程で歪みが出やすく、平らに仕上げるのが難しいんです。どうしたら歪みを抑えられるのか、自分の作品でしたらひとりで試作を重ねればよいですが、今回は窯元とのコラボレートなので、図面をひいて職人さんとイメージを共有しながら最適な作り方を探っていきました。底にごくわずかなカーブをつけ、周囲に細い縁をつけることで歪みを抑えるとともに、強度も確保しています。何度も何度もテストを重ね、やっとOKが出た時には、ホッとしましたね。こうして、成形の方法が決まったのもつかの間、釉薬をかけると、イメージとのギャップがまた生まれてしまって。今度は均一に薄く釉薬をかける方法を職人さんとともに考えていきました。予期せぬ事態にも粘り強く対応できたのは、いい器をお届けしたいという思いからです。日頃から土を触り、さまざまな釉薬を試してきた甲斐がありました。底に施したわずかなカーブは、器を持ち上げる時にテーブルと器の間に指が入りやすいという機能性にもつながっています。


どのように使ってもらいたいですか?

テーブルを囲んで人がワイワイ話している光景を思い浮かべながら作りました。これだけの大きさで釉薬に味わいがあり、和にも洋にも使える器はあまりないと思います。レストランでのプレゼンテーションにも映えると思いますし、ホームパーティのテーブルの真ん中に置けば、空間が華やぐこと間違いなしです。広々としたキャンパスを生かして、自由な発想で使っていただければと思います。  


COCHIからの依頼を受け、どう感じましたか?

焼物を焼く窯にはいろいろな種類があって、うちの工房のものでは、サイズの大きな器を作ることは難しい。だからこそ、設備の大きな窯元や型職人さんとともに作り上げることに興味がわきました。窯元は、生地や釉薬の開発に熱心で、型職人は、量産しやすい形への知識が豊富です。代わりに僕は、個人作家としての経験や知恵を駆使して、その工程の中でどんな方法で手作り感を出すのか考える。機械を使いながら手触りのあるものを目指すという理想に向かって、お互いに刺激しあいながら制作できたのではないでしょうか。



COLLECTION

ENISHI | 縁

高温に熱したガラスに、吹き竿を通して息を吹き込み、かたちづくる宙吹きガラスは、ひとつとして同じものはなく、自然素材の漆は、経年により色ツヤが変化します。使う人それぞれの暮らしの中で美しく育っていく器です。

KASANE | 重

料理の盛り付けはもちろん、裏返してオブジェのように使ったり、ジュエリーや小物をのせたり、発想次第で用途は無限に広がります。

TSUDOI | 集

人が集い食卓を囲み、食を楽しみ、ともに時間を過ごすというかけがえのない時間を、より特別のものにしてくれます。

KANADE | 奏

音楽を奏でるように、食卓に心地いいリズムと調和をもたらします。新生活や一人暮らしのスターターセットやギフトにも最適です。