『内なる自分を引き出す一着』として纏う戦闘着をコンセプトにしたファッションブランドTĔLOPLANのデザイナーLin Liさんに、コラボレーションアイテム“TATOU(畳)APRON DRESS”の制作の裏側、もの作りへの思いを伺いました。
― デザインに込めた思い
作家や産地に根づいた技術を受け継ぐ職人とコラボレートしてもの作りを行い、
和洋、伝統とコンテンポラリーをむすぶというCOCHIのコンセプトを念頭に、見た目の良さはもちろん、TĚLOPLAN(テーロプラン)が得意とする機能性を融合しようと考えました。
西洋のワークウェアであるエプロンに和を落とし込むバランスに気を配りながらデザインを進めました。
― デザインする際に大事にしていること
デザインをするうえでは構築的なパターンや、それが体に寄り添ったシルエットを意識しています。実際に着衣したときにシルエットが完成するので、シルエットが引き立つような素材選びを大事にしています。
例えば、ジャージなど柔らかい素材は、体の線に合わせて生地が下に流れますが、それを意識しつつ、シルエットに立体さが出るようにパターンを引きます。
TĚLOPLANというブランド名は、建築様式のラウムプランというタームが由来で、"RAUM"を"TĔLO"に置き換えています。
ラウムプランは、現代建築の父といわれる建築家のアドルフロースが提唱したコンセプトです。ゴシックなど派手な様式にインテリアと建築をあわせていくことが主流だった時代に、木目や石の断面など、シンプルにマテリアルの良さだけで、人が暮らしやすい空間をつくろうとした第一人者です。
その考え方は、私の服作りと通じるものがあり、ラウムプランからTĚLOPLAN(テーロプラン)と名付けました。
TĚLOPLANは、日常に寄り添う、素材にこだわった着やすいものを提案しています。
― 制作の際に大変だったことや気をつけたこと
エプロンとしての機能性とファッションアイテムとしてのプロダクト美を兼ね備えたものをより多くのお客様に届けたいという気持ちでつくりました。日常的に料理をする方とそうでない方それぞれに機能性についてインタビューしましたが、求めるものの個人差があり、バランスを取ることが難しかったです。
― どのように使ってもらいたいですか?
料理に限らず、陶芸やペインティングにも、エプロンとしての着用でなくてもいいと思います。あ!こういう使い方いいなとか、どんな生活のシチュエーションにも寄り添えるエプロンであれば嬉しいです。
―COCHIからの依頼を受け、どう感じましたか?
TĚLOPLAN は、日常に寄り添うことをコンセプトとしているので、ライフスタイルとの関係性をお洋服以外の角度からも提案することを常に模索しております。
器とのコラボレーションは相性がよく、お声がけいただき嬉しかったです。
エプロンというアイテム自体も好きだから、
楽しそうと思いました。
―デザイナーを始めたきっかけ
物心ついたときから、自分で選択したものを身に着けたいタイプの子供で、そのうち自分で手芸をはじめて。
ぬいぐるみを作ってみたり、編み物を始めてみたりと、いろんなテキスタイルを作り始めたのがきっかけです。あとは、本や漫画に、ファッションデザイナーのキャラクターが登場するとときめきました。ムードボードが貼ってあるスタジオのスペースとか、自分の世界観に没入して縫ったり作業する様は、憧れの対象でした。
―1日の中で(もしくは、デザイン制作をする中で)大切にしている時間
朝のコーヒーの時間です。ダークローストの深煎りの豆を挽いて適度な温度で飲みコンディションを整えます。あとは、食事の時間は大事にしていて自炊もしています。何事にも食わずして戦えずですから。
制作をするなかでは、今はインプットに集中、今はアウトプットに集中と時間を分けて使うことが好きです。
また、インスピレーションを受けるときに、自分が興味がある範疇のインプットに留まらないようにしています。好奇心旺盛な性格ですが、人との出会いからもたらされるインスピレーションの範囲の広がりも大事にしています。